あん摩マッサージ指圧師は、手を使って患者さんを押したり擦ったり揉んだりして不調や疲労を取り除く仕事です。
本記事では、あん摩マッサージ指圧師の将来性について解説しています。
あん摩マッサージ指圧師は活躍の場も多く、今後の需要も拡大していくことが予想されます。また、給料も平均以上でやりがいを感じやすい仕事です。本記事を読んで、あん摩マッサージ指圧師としての未来について考えてみましょう。
1.あん摩マッサージ指圧師とは
あん摩マッサージ指圧師は、「あん摩」「マッサージ」「指圧」の3つの手法を用いて患者さんの身体を押したり揉んだりさすったりして血行を良くし症状の改善を図ります。
あん摩マッサージ指圧師は国家資格であり、資格を持たずにあん摩マッサージ指圧師を名乗ったり、「あん摩」「マッサージ」「指圧」を行うことは法律で禁止されています。
2.あん摩マッサージ指圧師として働くには
あん摩マッサージ指圧師として働くには国家試験に合格しなければなりません。国家試験の受験資格を得るためには、大学や専門学校に最低でも3年以上通い規定のカリキュラムを履修する必要があります。
あん摩マッサージ指圧師に似た職業に整体師があり、こちらは資格がなくても名乗ることができますが、整体師が行うことができるのはリラクゼーションやもみほぐしのみで、マッサージを行うにはあん摩マッサージ指圧師の国家資格が必要です。
病院や介護施設への就職を考えている場合には、あん摩マッサージ指圧師の国家資格は必須となるでしょう。
3.あん摩マッサージ指圧師は将来性がある理由5選
あん摩マッサージ指圧師は将来性がある職業と言えます。その理由は活躍できる場所が多いことや年収に伸びしろがあること、キャリアアップの選択肢が多いことが挙げられます。
また、患者さんと直接関わるのでやりがいも感じやすくストレス社会や高齢化によって需要も拡大しています。
それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
活躍できる場所が多種多様
あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得するとマッサージ院やリラクゼーション施設だけでなく病院や介護施設スポーツチームなどでも活躍できます。
1つずつ解説していきます。
マッサージ院・整骨院
マッサージ院や整骨院は、あん摩マッサージ指圧師にとって最も一般的な勤務先です。複数店舗を運営している大手グループのマッサージ院もあれば、個人経営のマッサージ院もありどこに就職するかによって待遇も変わってくるでしょう。
また、マッサージ院によっては患者さんの自宅に出向いて施術する訪問マッサージを行っていたり、訪問マッサージ専門の求人もあります。
病院・クリニック
あん摩マッサージ指圧師が病院やクリニックで勤務する場合は、整形外科やリハビリテーション科のある病院になります。
病院やクリニックでは医師の指示のもと施術を行ったり、電子カルテの記入や検査の補助などを行うこともあります。
大きな病院に勤務すると、小さなマッサージ院では経験できないような症例にも関われる可能性が高くなるのでさまざまな経験を積めることがメリットといえるでしょう。
介護施設
あん摩マッサージ指圧師は、機能訓練指導員になることができます。機能訓練指導員は介護施設や老人ホームで最低でも1人以上配置しなければならないと法律で定められているため高齢社会の現代では需要が高まっています。
機能訓練指導員の役割は介護が必要となった人の身体機能に合わせた訓練を行い、自立した生活を送れるように支援することです。その仕事はリハビリやマッサージだけでなく、身体機能回復のための計画づくりや評価など幅広く行います。
また、高齢者や障害のある患者さんの自宅に訪問してリハビリマッサージを行うこともあります。
スポーツチーム
あん摩マッサージ指圧師はスポーツ分野で活躍することもできます。
身体の構造や仕組みについて精通していることを活かし、スポーツ選手の筋肉のコリや疲労を取り除く手助けができます。また、体調管理やケガの予防トレーニングメニューの考案などの業務を行う場合もあります。
美容サロン・リラクゼーション施設
あん摩マッサージ指圧師は美容をサポートする美容サロンや、リラクゼーションを目的として施設でも活躍できます。
美容目的の施術の場合、医療用の施術とは異なる知識や技術が必要とされます。肌のハリや顔のむくみなどの悩みや疲労回復のサポートが主な役割です。
利用する患者さんに女性が多いので、女性のあん摩マッサージ指圧師が活躍しやすい職場といえるでしょう。
独立開業
あん摩マッサージ指圧師は開業権のある国家資格なので、自分の施術院を開業できます。
自分の施術院を開業することで、アスリートなど特定の患者さんを専門にするなどの経営方針や治療方針なども自分で決められます。
独立開業には、あん摩マッサージ指圧師の技術や知識だけでなく法律や広告宣伝など様々な知識が必要となりますが、従業員として雇用されているときには得ることのできない高収入を狙うことが可能です。
年収が平均水準で伸びしろがある
あん摩マッサージ指圧師の将来性がある理由の一つは、給料が平均水準でさらに努力次第で年収アップを狙えることです。
厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによると、あん摩マッサージ指圧師の年収は443万円 となっています。また、国税庁の令和4年分 民間給与実態統計調査からは、給与所得者全体の平均年収は458万円 です。
あん摩マッサージ指圧師の平均年収は全体の平均年収とほぼ等しいと言えるでしょう。また、スキルアップして患者さんからの指名や独立開業することで更に年収を上げることも可能です。
キャリアアップ方法が充実
あん摩マッサージ指圧師は、様々なキャリアアップの方法があります。様々な方法があることで、自分に合ったキャリアアップを選べます。
ダブルライセンスの取得
あんまマッサージ指圧師のキャリアアップ方法の1つが、ダブルライセンスの取得です。
鍼灸師や柔道整復師などの他の国家資格を取得することで、提供できる施術の範囲を広げられます。
ケアマネージャーを目指す
ケアマネージャーとは、介護サービス計画書を作成したり、事業者や医療機関、自治体などの連携して利用者が最適な介護-サービスを受けられるようにマネジメントをする介護の中心的存在です。
ケアマネージャーは、あん摩マッサージ指圧師の実務経験を5年以上積むことで受験資格を得ることができます。
高齢者社会の日本では、介護分野の需要はますます増加していくことが予想されるのでキャリアアップの選択肢として向いているでしょう。
独立開業
あん摩マッサージ指圧師は、開業権のある国家資格です。病院や治療院で実務経験を積み施術のスキルを身に着けてから独立開業するケースが多いようです。
開業にはあん摩マッサージ指圧師としてのスキルだけでなく経営や法律の知識も必要となります。また、患者さんを集められなければ廃業してしまうリスクもあります。
しかし、開業して軌道に乗せることができれば従業員として雇用されていた時には得ることのできなかった収入や達成感を得られるでしょう。
やりがいを感じやすい
あん摩マッサージ指圧師は、不調の改善した患者さんの喜ぶ顔を間近で見たり、直接感謝の言葉をもらえるのでやりがいや達成感を味わいやすいといえます。
患者さんとの信頼関係を築くことで、自分を頼りに治療院にやってくる患者さんもできるでしょう。そのような患者さんからの信頼にこたえることで、さらにやりがいは高まっていきます。
需要が拡大中
現在のストレス社会では、「癒し」や「リラクゼーション」という言葉をよく耳にします。
デスクワークによる肩こりや疲労を感じる人が多いことから、オフィス街にもマッサージ店が多く見られます。また、あん摩マッサージ指圧師は徒手で施術を行うので人の手によるヒーリング効果も期待されています。
また、高齢社会では身体機能の低下などからくる様々な不調を抱える高齢者が増えていて介護分野での需要も増えています。
4.あん摩マッサージ指圧師に向いている人の特徴
あん摩マッサージ指圧師は、体力に自信がありコミュニケーション能力の高い人に向いています。
あん摩マッサージ指圧師の施術は道具を使わずに手を用いて行うので身体を酷使するだけでなく、ほぼ1日中立ち仕事であることから体力のある人に向いています。
また、患者さんの不調を正確に聞き出す必要があるのでコミュニケーション能力が重要です。さらに、患者さんをリラックスさせられる話し方や患者さんに寄り添う気持ちも求められます。
5.まとめ:あん摩マッサージ指圧師は努力次第で将来性のある仕事!
あん摩マッサージ指圧師は、将来性のある仕事といえます。その理由は、やりがいを感じやすく平均以上の収入を得ることができ、活躍できる場所が多くある点です。また、需要は今でも拡大していてキャリアアップの方法も多くあります。
ただし、競争も激しい業界なのであん摩マッサージ指圧師になった後の目標を明確にしてそれを達成するための努力を続けることが重要です。
あん摩マッサージの求人を探す【参照サイト】
厚生労働省|職業情報提供サイト|あん摩マッサージ指圧師
国税庁|刊行物等|統計情報|国税庁|令和4年分 民間給与実態統計調査