国家資格を持つプロとして、利用者へマッサージや指圧を提供するのが、あん摩マッサージ指圧師です。「マッサージ」と名前が付く施設やサービスも多様化したことを受け、あん摩マッサージ指圧師もさまざまな働き方ができるようになりました。
これから自分に合う働き方や職場を見つけたいあん摩マッサージ指圧師の方のために、あん摩マッサージ指圧師のおもな就職先7つを仕事内容や働き方とともに解説します。
1.あん摩マッサージ指圧師の就職先7選
あん摩マッサージ指圧師とは、医療行為に該当する「あん摩マッサージ指圧」の施術を行う職業です。
従来視覚に障害がある方がおもに活躍する職業というイメージがありますが、近年では視力の障害の有無に関係なく、多くの方があんまマッサージ指圧師の国家資格を取得しています。
あんまマッサージ指圧師が提供できるあん摩マッサージ指圧の技術は、さまざまなシーンで求められています。主なあんまマッサージ指圧師の就職先7つを紹介します。
①.治療院
1つ目は、マッサージ院や整骨院・接骨院などの治療院で働く方法です。治療院には、体に何かしらの不調を感じる方が多く訪れます。
そのため、体の痛みやこりなどの不調に対して、指圧やマッサージによる押し・揉み・叩きなどで刺激を与えて血行を良くしたり、脊椎のゆがみを矯正したりするあん摩マッサージ指圧を提供できるあんまマッサージ指圧師のニーズは高いと言えるでしょう。
治療院は他にもあん摩マッサージ指圧師をはじめ、鍼灸師や柔道整復師などがそれぞれの技術を使って患者様に施術を提供しています。
他のスタッフとともに自分の技術を磨きながら、さらにレベルの高い技術を身に付けていきたいと考えている方に向いているでしょう。多くのお客様の治療に携わるため、多くの秒例に触れ自分の経験を積むのにも役立ちます。
ただし、治療院は施設によって治療方針や提供するメニューの内容が異なります。また、整骨院・接骨院で勤務する場合、あんまマッサージ指圧師は柔道整復師のような業務を求められることが多めです。
治療院への就職を検討する場合、治療院が提供している施術の内容や方向性などを見て、自分が提供したい施術ができるかを確認するのが重要と言えます。
②.病院・クリニック
病院やクリニックといった医療機関で働くあんまマッサージ指圧師も少数ですがいます。
医療機関では、おもに運動療法やマッサージなどのリハビリに関する業務を任せられる場合があります。あんまマッサージ指圧師は、介護支援専門員の作成するケアプランに基づいてリハビリを提供する機能訓練指導員となることができるためです 。
また、病院やクリニックといった医療機関内で求人が出されていても、実際に勤務する場所は併設するリハビリ施設であることがあります。機能訓練指導員としての求人が出ている場合、実際に勤務する場所についても確認しておきましょう。
③.福祉介護、リハビリ施設
デイサービスをはじめとした福祉介護施設やリハビリ施設で働くあん摩マッサージ指圧師は、医療機関のリハビリ室と同様機能訓練指導員として勤務する場合が多いです。
厚生労働省の「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)」では、指定通所介護事業者は、1施設あたり機能訓練指導員を1名以上配置することを義務付けて います。
あん摩マッサージ指圧師免許を取得していると機能訓練指導員として勤務できるため、福祉施設やリハビリ施設でリハビリに関する業務を行うあんまマッサージ指圧師もいます。
なお、福祉施設やリハビリ施設で働く場合、施設によっても異なりますが利用者さんの送迎業務を兼務することがあります。送迎では車の運転が求められることも覚えておきましょう。
④.訪問マッサージ
訪問マッサージでは、利用者さんの自宅に直接担当者として実際に利用者の自宅を訪れ、体のマッサージや身体機能訓練などを行います。
施設ではなく利用者さんの自宅で行うことから、歩行練習やトイレ、入浴、家事などの動作、外出の訓練などの自宅での生活シーンに即した訓練を行うのが特徴です。
利用者さんへのマッサージやリハビリのほか、ご家族の負担がより少なくなる介助の方法や環境の整え方などのアドバイスも行えます。
特に訪問マッサージは高齢化社会を迎え、需要が高まっている働き方です。今後も多くのあんまマッサージ指圧師の活躍が期待できる就職先と言えるでしょう。
訪問マッサージは残業が少なく、ライフスタイルに合わせた働き方がしやすいのも特徴です。また、時間給のほか成果給を取り入れている職場も多く、自分が頑張った分だけしっかり稼ぎたい人にも向いています。
⑤.スポーツ分野
スポーツジムでの施術、運動指導を行うアスリートのトレーナーなど、スポーツ分野で活躍するあんまマッサージ指圧師もいます。
プロのスポーツチームに帯同し、選手たちの体のメンテンナンスを行う仕事もあります。あん摩マッサージ指圧師ならではの技術が、選手たちのパフォーマンスを上げる手助けをするとてもやりがいのある仕事です。
求人数は少ないため、希望する場合はしっかりと求人情報をチェックしておきましょう。
⑥.ヘルスキーパー
ヘルスキーパーとは、福利厚生の一環としマッサージを提供する働き方です。福利厚生としてマッサージを提供している会社に所属し、働くことになります。
福利厚生でマッサージを提供している会社はかなり限られるため、求人自体は少なめです。募集状況を確認法人向けのマッサージ事業を展開している会社へ直接問い合わせをするなどの方法があります。
⑦.独立開業
あん摩マッサージ指圧師は、独立開業が可能 です。独立開業で多くの人が利用する治療院を経営できれば、頑張った分だけ高収入を得ることも可能です。
また独立開業すれば定年がないため、元気なうちは現役であんまマッサージ指圧師として活躍したいと考えている方にも向いているでしょう。
あん摩マッサージ指圧師の免許を取得してから、医療機関やリハビリ施設、治療院などで経験を積み、知識や技術をしっかり培ってから独立開業をするケースが多めです。
また、独立開業後はあんまマッサージ治療師としての高い技術力はもちろん、営業力や経営力も求められます。
3.あん摩マッサージ指圧師の給料
あん摩マッサージ指圧師は、おもに以下3通りの働き方があります。
・正社員
・アルバイト
・個人事業主として業務委託
それぞれの働き方ごとの給料について解説します。
正社員
特定の職場に所属し、フルタイムで働く働き方です。
拘束時間は長くなりますが、その分安定した収入が期待できます。月給にプラスして出来高が支払われる職場もあります。
厚生労働省が運営するjobtagによるとあん摩マッサージ指圧師の平均年収は約440万円であり、ハローワークに掲載の求人では月収25万円程度が相場のようです。
これらはあん摩マッサージ指圧師全体の給料水準になりますが、最も収入の安定する正社員であれば経験の浅いうちは300万円程度、キャリアを積み上げることで400万円や500万円を目指せるといえるでしょう。
アルバイト
おもに時給で働いた時間分だけ収入を得る働き方です。働く曜日や時間などは自分で決められる職場の場合、ライフスタイルに合わせた働き方もできます。
正社員と同じく時給にプラスして出来高を支払う職場もあります。
時給はエリアや職場によって変わることに加え、国家資格を取得する前後で大きく変わります。取得する前でも高いことはありますが、取得した後であれば一般的なアルバイトより高くなる傾向にあります。
個人事業主として業務委託
業務委託契約は、フリーランスのあんまマッサージ指圧師として他から依頼を受けて働きます。
業務を受ければ受けただけ報酬となるため、頑張った分だけしっかりと収入が得られます。正社員よりも安定性には欠けますが、自分で働く時間をコントロールできるのが魅力です。
4.まとめ:自分のキャリアデザインに合わせて就職先を選ぼう
あん摩マッサージ指圧師のおもな7つの就職先と3つの働き方ごとの収入について解説しました。
あん摩マッサージ指圧師は治療院をはじめさまざまな働き方ができる職種です。
経験を積んで技術力が高まれば、独立開業も目指せます。自分らしく働けるあんまマッサージ指圧師の職場を見つけるには、求人情報をしっかりとチェックするのが重要です。
あん摩マッサージの求人を探す【参照URL】
あんまマッサージ指圧師 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
介護人材関係について 機能訓練指導員の定義、基準上の要件16ページ 機能訓練指導員の基準(通所介護の場合)|厚生労働省