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柔道整復師とは?整体師との違いや柔道整復師の目指し方・就職先を徹底解説!

柔道整復師

おもに手技による施術を患者様へ提供する職業が、柔道整復師です。

柔道整復師という職業に興味があるものの「整体師とは何が違う?」「柔道整復師になるにはどうすればいいの?」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

今回は柔道整復師と似ている職業との比較と仕事内容、柔道整復師になるための方法を解説します。

1.日本の人口高齢化に伴い、柔道整復師の需要が拡大中

柔道整復師の持つ専門性の高い技術や知識は、整骨院や接骨院だけでなく、スポーツや医療、介護・福祉の現場に至るまで幅広いニーズがあります。

日本は超高齢化社会を迎え、特に介護や福祉分野でも柔道整復師の需要が高まっています。人間は高齢になると身体能力や筋力が低下することで、これまでできていた日常生活が難しくなること、さらに要介護状態を防ぐための介護予防が注目されていることが、柔道整復師が求められる背景にあります。

柔道整復師は、高齢者を対象とした日常動作の機能回復や介護予防の面で、今後安定した需要が望める職種と言えるでしょう。

2.柔道整復師とは

柔道整復師とは、大学や専門学校で数年間学習したのち国家試験の受験資格を手にし、国家試験に合格した人の総称であり、骨折や打撲、肉離れなどの治療が可能です。ほねつぎや整骨師、接骨師と呼ばれることもあります。

柔道整復師は、骨折や打撲といった外傷を負った患者様へ対して、柔道整復術を使って手技を駆使した施術を提供します。ずれた骨を直したり、テーピングで固定したりすることで、人間の自然治癒力を最大限に引き出し、負傷した骨や筋肉の回復を目指すのが、柔道整復師の仕事です。

公益社団法人日本柔道整復師会によると、柔道整復師は“厚生労働大臣免許のもとで骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷(筋・腱の損 傷)などの施術(治療)をする職種の正式名称”と定義されています。

柔道整復師が提供する施術を柔道整復術といいますが、これは柔術から派生した技術で、戦国時代の武士が敵を殺傷する技法「殺法」とともに習得した、応急処置法や蘇生術の技法習得である「活法」が柔道整復術の元祖といわれています。

「活法」は、「殺法」の裏技として相伝され、江戸時代には蘭学や中国医学、実証医学等の影響を受けて「整骨術」、「接骨術」、「骨継(ほねつぎ)療治(りょうち)」と呼ばれながら受け継がれていきます。

その後、大正期以降に西洋医学の知識が取り入れられ、現代の「柔道整復術」となりました。

3.柔道整復師・整体師・理学療法士の違い

柔道整復師と似た職業に、整体師と理学療法士があります。それぞれの職業との違いについて解説します。

整体師と比較

柔道整復師は国家資格取得者であるのに対して、整体師は特定の資格がなくてもなれる職業です。整体師に関する民間資格も存在しますが、かならずしも整体師になるために必須ではありません。

また、柔道整復師は骨折、脱臼、捻挫などに対して、医療類似行為である柔道整復術による施術を提供できますが、整体師は類似行為も含め医療行為は一切提供できません。

柔道整復師の骨折、脱臼、打撲及び捻挫(いわゆる肉ばなれを含む。)の施術を受けた場合に保険の対象になりますが、整体師の施術はすべて保険適応外です。

理学療法士と比較

理学療法士とは、国家資格である理学療法士免許の取得者です。

柔道整復師は外傷の回復をサポートする役割を持つのに対して、理学療法士は外傷により低下した身体機能の回復や維持、向上を目的に怪我の状態やステージに合わせたリハビリを提供します。

理学療法士は、おもに医師や看護師と連携を取り、指示のもとでリハビリのプログラムの計画と実行を担います。

4.柔道整復師の仕事内容・技術

柔道整復師の仕事は、おもに以下の4つに分類できます。

仕事の分類仕事内容
評価患者様の病状の把握 問診、視診、触診によって評価
整復法ずれた関節や折れた骨を、元の状態に戻す けん引・圧迫などで整復
固定法患部を固定して効率の良い回復と安静を実施する ギプス・包帯・三角巾・テーピングなどを使って、損傷部を固定
後療法ケガをした部位の早期回復を促すために、刺激を与える 手技療法・物理療法・運動療法に分かれる

後療法は、提供する施術内容や技術によって、以下の3つに分けられます。

技術の分類提供する内容
手技療法柔道整復師が直接患者様の身体に触れて行う治療法 軽擦法(けいさつほう)、揉捏法(じゅうねつほう)、叩打法(こうだほう)、圧迫法(あっぱくほう)などがある
物理療法物理的エネルギーを利用した施術 電気・光線・温熱・冷却・水・超音波療法を患者様に合わせて提供
運動療法怪我をした場所や周辺を動かし、身体機能の回復を促す方法 手技や専門の医療器具を用いる

5.柔道整復師になるには

柔道整復師になるには、柔道整復師国家試験に合格しなければいけません。そのためには所定のルートで柔道整復師国家試験の受験資格を取得する必要があります。

柔道整復師になるための、具体的な方法を順に解説します。

ルート①:専門学校に3年通って国家資格を取得

柔道整復師養成施設に該当する専門学校にて、解剖学、生理学、病理学、衛生学その他必要な知識及び柔道整復の技能を3年以上修得すると、国家試験の受験資格が得られます。

その後国家試験に合格することで、柔道整復師の国家資格を取得できます。

ルート②:大学・短大に3~4年通って国家資格を取得

柔道整復師養成課程を設けている短大または大学に通い、専門学校と同様に必要な知識及び柔道整復の技能を3年以上修得した後に国家試験を受験し、合格する方法です。

短大の場合は3年、大学の場合は4年通学することになります。

専門学校と大学でそれぞれのメリット

柔道整復師を目指す上で専門学校と大学、どちらにすべきか迷ったときにも参考になる、それぞれのメリットを以下にまとめました。

専門学校のメリット・入学が大学よりもかんたん ・大学よりも学費を抑えられる ・実技環境・カリキュラムが充実している ・幅広い年代の学生がいる ・学校数が多く選択肢が広い ・1年早く現場に早く出られる
大学のメリット・大卒資格が取得できる ・柔道整復師以外の一般企業への就職も視野に入れられる

養成学校(専門学校・大学)のカリキュラム

専門学校では、人体の構造と機能や疾病と傷害、柔道整復術の適応、保健医療福祉と柔道整復の理念などの専門基礎分野や基礎柔道整復学、臨床柔道整復学、柔道整復実技などの専門分野を中心に、外国語や人文学といった基礎分野を学びます。

大学では、専門学校同様柔道整復師に関する専門基礎分野や専門分野のほか、一般教養を含む基礎分野を幅広く学びます。

実施するカリキュラムは学校ごとに異なりますが、専門学校では柔道整復師に関する分野、大学では幅広い範囲の一般教養の分野を重視して学ぶ傾向にあります。

柔道整復師の国家試験合格率

公益財団法人 柔道整復研修試験財団が公表している近年の柔道整復師国家試験合格率は、第30回(令和3年度)が62.9%、第31回(令和4年度)が49.6%でした。

ただし、この合格率は新卒、既卒の合格率を合わせたもので、第30回(令和3年度)の新卒合格率は81.0%、第31回(令和4年度)の新卒合格率は65.4%でした。新卒の合格率は、およそ70~90%の間で推移 しています。

6.柔道整復師の主な就職先

専門的な知識と技術を持つ柔道整復師は、さまざまな場所で高い需要があります。おもな柔道整復師の就職先を解説します。

整骨院・接骨院

柔道整復師の代表的な就職先が、整骨院・接骨院です。

骨折や脱臼、捻挫などの外傷に対して保険適用の柔道整復術による施術を提供するほか、院によっては肩こりや腰痛などの慢性疾患への施術や、ダイエットや姿勢矯正などのメニューを提供していることもあります。

整形外科クリニック・病院の整形外科

整形外科や外科などのクリニック・病院で働く柔道整復師もいます。

整形外科や外科などの医療機関の場合、柔道整復術による施術を提供するのではなく、みなしPTとして、患者様の運動機能回復のためのリハビリを提供したり、テーピングなどの固定を行ったりする場合が多いです。

整形外科や外科などのクリニック・病院では医師や看護師、理学療法士や作業療法士などの医療従事者と連携を取って職務にあたります

介護施設

特別養護老人ホームや老人保健施設、グループホームなどの介護施設および訪問介護施設では機能訓練指導員の配置が義務付けられています。

柔道整復師免許は機能訓練指導員として必要な「訓練を行う能力を有する者」に該当するため、介護施設や訪問介護の現場で、機能訓練指導員として活躍する柔道整復師も多めです。

介護施設の形態により柔道整復師が担う業務や役割は異なります。さらに訓練以外の身体介護やレクリエーション、ご家族への介護のアドバイス提供など、柔道整復師が担う可能性のある業務も多岐にわたります。

なお柔道整復師は介護施設で5年以上実務経験を積むと、ケアマネージャー資格の受験要件を満たせるため、介護の現場で長く活躍したい場合のスキルアップにもつながるでしょう。

スポーツ分野

フィットネスジムやスポーツジムのトレーナーや、プロスポーツチームのトレーナーも柔道整復師の就職先のひとつです。

捻挫や打撲、骨折などのスポーツで発生しやすい外傷への応急処置をはじめ、柔道整復師の持つ骨や筋肉に関する知識を活かし、選手が怪我や故障から復帰するためのリハビリやけが予防のためのストレッチなどを行います。

独立開業

柔道整復師は、開業権が認められている職種のため将来的に独立開業も目指せます。

全国柔整鍼灸協同組合によると、独立開業するには、柔道整復師として2年間(2024年(令和6年)4月以降に届出する場合)または3年間(2024年(令和6年)4月以降に届出する場合)の実務経験を積んだ後、「柔道整復師施術管理者研修」の受講が必要で す。

独立開業するには、柔道整復師としての知識や技術のほか、自分の整骨院・接骨院を経営するノウハウも求められます。

独立開業のほか整骨院・接骨院ののれん分けやフランチャイズ開業の道などもあります。たとえばジョブノートでも、独立開業支援を提供している整骨院・接骨院の求人も多くあります。

7.柔道整復師の就職活動の流れ

柔道整復師の就職活動は、以下の流れで進みます。

前年夏ごろから:合同面接会や見学会に参加
4月:新旧後履歴書の準備
7~11月:就職活動と国家試験に向けた勉強
10~12月:学校の卒業認定試験
1月:国家試験の受験手続
3月上旬:国家試験受験
3月下旬:国家試験合格発表
4月:内定先で勤務開始

柔道整復師国家試験の前に就職活動を終え、内定先を確保している状態で柔道整復師の国家試験受験をするのが一般的です。

8.柔道整復師の求人倍率が高い?

厚生労働省の職業情報提供サイト(日本版O-NET)によると、令和4年度の柔道整復師の全国の有効求人倍率は3.60でした。

柔道整復師ひとりあたりに3.60件の求人数があるということのため、今後も柔道整復師は幅広い求人数が見込めると言えるでしょう。

9.柔道整復師の年収相場は?

厚生労働省の職業情報提供サイト(日本版O-NET)によると、令和4年度の柔道整復師の全国の求人賃金(月額)は26.3万円、賃金(年収)は443.3万円でした。

実際の給料は就職先や勤務先地域によって異なります。求人情報もしっかりチェックし、年収面でも納得の就職先を選びましょう。

10.まとめ:柔道整復師の将来性は明るい

柔道整復師の概要と似ている職種との違い、なる方法や就職の流れについて解説しました。

柔道整復師は国家資格であり、専門的な知識と技術を持つ職種です。

キャリアの選択肢が多いことに加えて、今後の超高齢化社会を迎えるにあたり、さらに高い需要が見込まれるでしょう。

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【参照URL】
柔道整復師・整骨院・接骨院について 柔道整復は伝統医学ですか?|公益社団法人日本柔道整復師会
1.柔道整復師国家試験の実施 8) 回数別 受験者数等一覧|公益財団法人 柔道整復研修試験財団
開業サポート 接骨院開業の流れ|全国柔整鍼灸協同組合
職業情報提供サイト Jobtag(日本版O-NET)柔道整復師|厚生労働省

【引用URL】
柔道整復師・整骨院・接骨院について 柔道整復師とは?|公益社団法人日本柔道整復師会

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