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鍼灸師は将来性がある6つの理由

鍼灸師

「人々の健康をサポートしたい」、「スポーツ鍼灸に興味がある」、「国家資格を取得して安定して働きたい」など、あなたが鍼灸師を目指したきっかけはさまざまだったと思います。

しかし実際に勉強し、働いてみたら想像以上に大変で、「将来稼げる仕事かな」、「本当に安定して働ける?」、「どのようなキャリアがあるのだろう」と、漠然とした将来への不安を抱えているかもしれません。

ここでは、実に多様な就職先に恵まれ、あなたに合った働き方やキャリアを築くことも可能な鍼灸師の将来を紹介していきます。

これを読めば、鍼灸師を目指そうと思ったきっかを再認識することはもちろんのこと、将来の夢や可能性の選択肢を広げることができるはずです。

1.鍼灸師とは

鍼灸師とは、「はり師」と「きゅう師」の国家資格を持ち、鍼と灸を用いて病気の改善や予防を促すための治療を行う人のことです。

養成学校で学び、国家資格を取得したあとは、鍼灸院などで働くことが一般的です。

2.鍼灸師の現状

まずは鍼灸師の現状についてみていきましょう。

2-1.資格取得者と養成機関が増加

厚生労働省「衛生行政報告令(就業医療関係者)の概況」によると、鍼灸師の資格を持つ人は251,754人いるとされています。

また、文部科学大臣指定「医療関係技術者養成施設数・入学定員一覧」によると、鍼灸師の養成機関は、82校(令和4年5月1日時点)あり、鍼灸師を目指す人々に比例して増加傾向にあります。

2-2.鍼灸治療における医学

鍼灸治療は、薬などを使って治療を行う現代医学(西洋医学の一部)の考え方とは異なり、全身のバランスを見ながら人間が持つ自然治癒力を最大限に高める治療を行います。

例えば、「熱が出れば解熱剤を飲む」、「風邪をひいたら抗生物質」といった、西洋医学で用いられる服薬は、その症状に対して直接アプローチすることが特徴です。

対して鍼灸治療の基礎である東洋医学は、不調の根本原因を突き止め、その根本原因を取り除くための間接的なアプローチをすることで、結果的に感じている不調を取り除きます。

効果を感じるまでに時間がかかることもありますが、服薬に比べて副作用が少なく、患者さん自身で原因や治療法が分からない症状の改善が期待できます。

3.鍼灸師の将来性がある理由6選

鍼灸師は、実にさまざまな可能性を秘めている職業です。
どのような可能性を秘め、将来性があるとされているのか、その理由をお伝えします。

3-1. 需要の幅が広く、就職先・転職先が多種多様

鍼灸師の魅力は、なんといっても様々な目的に応じたアプローチが可能なことです。それにより、多様な選択肢が広がっています。

ここでは、大きく5つの目的に対して、鍼灸師がどのようにかかわることができるのかを見ていきます。

①.治療目的

鍼灸療法は一般的に、肩こり、腰痛、神経痛などの“痛みが伴う不調”にしか効果が無いように思われがちですが、下記のように西洋医学で治療をするイメージが強い病気にも効果があるとされています。

そのため鍼灸院だけでなく、一般病院、クリニック、助産院やリハビリテーションセンターなど、医療機関だけでも多数の就職先があります。

【効果があるとされている症状・病気】

運動器系疾患関節炎、リウマチ、腱鞘炎、外傷の後遺症(骨折、打撲、捻挫)など
循環器系疾患冷え性、動脈硬化症、高血圧・低血圧症など
消化器・呼吸器系疾患慢性胃炎、便秘、気管支喘息、食欲不振など
疼痛性疾患頭痛、坐骨神経痛、術後疼痛など
感覚器系疾患眼精疲労、メニエール病、耳鳴りなど
泌尿器・産婦人科系疾患失禁症、更年期障害、月経異常など
小児疾患小児神経症、夜尿症、消化不良など
その他自律神経失調症、不眠症、肥満、アレルギー性疾患など

②.健康向上目的

自然治癒力を最大限に高める鍼灸は「治療」だけが目的ではありません。

・免疫力向上
・自律神経の安定
・ストレス緩和
など、単に病気を改善するだけでなく、心身の負荷軽減にも効果を発揮しますので、健康力向上を目的とする患者さんのための鍼灸院も増えています。

就職先として一般的な鍼灸院ですが、女性特有の症状、メンタルケアに特化するなど、鍼灸院ごとの特色があるため、自分に合った就職先を選ぶことができるでしょう。

③.美容目的

ツボや筋肉を刺激する鍼灸は、血行促進、老廃物の排出や新陳代謝が促進される効果があり、美容と掛け合わせると、下記のような相乗効果が生まれます。

たるみ、ほうれい線の解消 目の下のクマ改善
肌質及びトラブル改善 耳つぼによるダイエット効果
肌のハリアップ、トーンアップ 全身のむくみの解消

エステティックサロンでは、この相乗効果を強みとして鍼灸ができるスタッフを募集することもあります。

また、美容サロンに勤務すると、サロン業務全般に関する知識や技術が身に付き、“鍼灸×エステ”、“鍼灸×リラクゼーション”を組み合わせたサロンを開業する鍼灸師もいます。

美容業界への就職やキャリアを希望する場合は、鍼灸師の資格を自身の「強み」としてアピールすると良いでしょう。

④プロスポーツ支援

スポーツ鍼灸では、首や肩、腰、膝などの部位に鍼灸を行い、ケガの予防や回復をサポートする役を担います。

副作用やドーピング検査を気にせずに受けることができるため、安心できる治療としてアスリートからの人気が高まっています。

プロチームがある企業や、ジムなどのスポーツ施設に勤務すれば、鍼灸師の知識・技術をアスリートの体調管理や、パフォーマンスの向上に役立てることができるでしょう。

また、+αで資格を取得し、スポーツトレーナーという立ち位置で、総合的にアスリートを支えるキャリアを形成することも可能です。

⑤高齢者向けのリハビリ

高齢の方の健康維持やリハビリを目的とした鍼灸は、昔も今も高い需要があります。鍼灸院での治療のみならず、利用者宅に出向く「訪問リハビリステーション」の求人もあります。

また、慣れ親しんでいる方が多く、体に負担をかけないため “苦”をイメージしてしまう治療が抵抗感なく行えることを理由に介護施設でのニーズが急増中です。

老人ホームやデイサービスなどでも求人を出していますので、鍼灸師が必要とされる高齢者向けのフィールドは、どんどんと広がりを見せるでしょう。

3-2.認知度が高く、全年齢層がターゲット

花粉症、眼精疲労や冷え性など、“病気でないが本人にとっては深刻な症状”にも鍼灸治療が効果的であることが広く知られています。

また、さする程度の感触で痛みを感じない小児鍼などもあり、業種や年齢、性別に関係なく「改善したい」と願う人々の助けになることは、鍼灸師の将来性としてかなりの可能性を秘めているでしょう。

3-3.市場が拡大中

厚生労働省「衛生行政報告令(就業医療関係者)の概況」によると、「はり及びきゅうを行う施術所」は令和2年末時点で32,103ヶ所あり、これは10年前の21,065ヶ所から2万ヶ所以上も増えています。

WHOや病院をはじめとする医療機関、大学や研究所などでも効果がある症例の研究などが進められていることから、今後も市場は拡大し続けるはずです。

3-4.独立開業できる

「はり師」と「きゅう師」は、国家資格取得と同時に開業権も得ることができます。

院の開業でも良いですし、道具一つで訪問治療を行うフリーランスなどであれば、開業資金が少なく済むことから、挑戦への扉は重くないと言えるでしょう。

どちらにしても独立は、自分に合った働き方やキャリア形成を行うことが可能です。

3-5.ダブル資格でキャリアアップできる

同じ治療家の資格として柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などもあります。

同じ東洋医学の分野であり、不調を体の内側から改善する目的であるこれらの資格を取得することで、幅広い知識とサービスの提供を行うことができる“東洋医学のスペシャリスト”になれるのです。

3-6.鍼灸は世界的に認められている

鍼灸治療は、世界的に見ても非常に高い需要があります。

アメリカ、カナダ、メキシコ、ニュージーランドでは東洋医学の治療が人気ですし、世界鍼灸学会連合会という国際的な団体もあり、世界中で学術交流やボランティア活動が行われています。

外国語の取得、働く国での免許取得、就労ビザなど、国内で働くことに比べてハードルは高くなるものの、鍼灸師として海外で働くことも夢ではなく、現実的な選択肢です。

4.まとめ:鍼灸師のニーズが高まり、キャリアの積み上げ方が豊富

テクノロジーの技術が目覚ましいほどの飛躍を遂げている現代において、将来が心配される職業は鍼灸師だけではありません。

製造・組み立て業務や事務業務などは機械化により、人の手を使わずに仕事ができるようになったことで、「10年後になくなる可能性がある職業」としてリストアップされています。
これらの職業に共通していることは

・テクノロジーが活用できる
・誰が行っても結果が変わらない
・生産性や利益率が低い
ことです。

しかし、鍼灸師はどうでしょうか。

手を使い、患者に触れることで症状の特定や治療ができる仕事であり、鍼灸師の力量によって、患者さんに与える効果(結果)も変わるでしょう。

そういった機械にできない仕事は、なくなることがありません。

さらに、他業界との連携により活躍の場が広がりを見せる中で、鍼灸師は今も、これからも、“人によって人を助ける”、将来性がある職業だと言えます。

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【参照サイト】
令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況(厚生労働省)
「医療関係技術者養成施設数・入学定員一覧」(令和4年5月1日時点)

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