鍼灸師と柔道整復師は、どちらも患者さんへの施術を提供する資格です。
どちらか一方の資格があればもちろん患者さんへの施術は可能ですが、両方の資格を取得することでさまざまなメリットも得られます。
今回の記事では、鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンス取得を目指す方のために、ダブルライセンス取得のメリットや具体的な方法、発生する時間やコストについて解説します。
ダブルライセンスの合格率についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
1.鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスとは
はり師・きゅう師の国家試験と柔道整復師の国家資格に合格し両方の資格を取得することをダブルライセンスと言います。
鍼灸師と柔道整復師両方の資格を取得すると、一方の資格では行えない医療行為や施術が可能となります。ただし、それぞれの国家試験を受験する要件を満たすために、各養成校に通っての単位の修得や、国家試験の合格が必要です。
2.柔道整復師と鍼灸師の違い
公益社団法人日本柔道整復師会によると、柔道整復師とはおもに接骨院・整骨院にて骨折や脱臼、捻挫、打撲、挫傷(筋・腱の損 傷)などの施術(治療)をする職種です。
一方で鍼灸師とは、公益社団法人日本鍼灸師会によると、病状や体質の診たてを行った後に、適切な経穴に鍼や灸を施す鍼灸術を行う職種です。日本で鍼灸施術を行うには、はり師・きゅう師の国家資格が必要になります。
鍼(はり)や灸(きゅう)を用いるかどうかが最も大きな違いといえるでしょう。
柔道整復師と鍼灸師それぞれの国家資格を取得するには柔道整復師または鍼灸師養成の専門学校や短大・大学に最低3年間通い、学問と技術を学び、国家試験の受験資格を得て国家試験に合格する必要があります。
柔道整復師の専門学校の費用相場は300万円~500万円、鍼灸師の専門学校の費用相場は300万円~400万円です。
3.ダブルライセンスのメリット5選
柔道整復師と鍼灸師両方の免許を取得することで、さまざまなメリットが得られます。ダブルライセンスを目指すメリットを5つ紹介します。
医療・リハビリ分野での競争力が上がる
柔道整復師と鍼灸師両方の資格を取得することで、柔道整復術、鍼灸術両方の施術が可能となり、患者さんの症状や希望に応じた施術の選択肢が広がるため、ほかの柔道整復師や鍼灸師よりも指名が増える可能性が高いです。
幅広い施術が提供できる治療師は治療院の集客にも結び付くため、転職にも有利です。
また、治療院によってはダブルライセンスを取得している治療師に対して手当てを設けている場合もあります。ダブルライセンスを取得することで、治療師としての優位性を保てるでしょう。
患者への総合的なサポートができる
ダブルライセンスであれば、柔道整復師と鍼灸師それぞれでの技術と知識を持つことになり、患者さんへ対してもより良い治療法の提案が可能です。
また、患者さんの持つさまざまな不調や病状にも対応できるようになるため、子どもから高齢者まで、社会人からアスリートまで、幅広い患者さんへ対応できるようにもなります。
キャリアオプションが広がる
柔道整復師と鍼灸師の就職先は、整骨院や鍼灸院といった治療院だけではありません。柔道整復師なら医療機関やスポーツの現場、介護保険制度での介護事業所、鍼灸師なら介護事業所やリラクゼーションサロンなどでも活躍できます。
ダブルライセンスを取得することで、活躍できる場が広がります。治療院以外の分野で活躍できる治療師を目指すなら、ダブルライセンスを取得することで選択できるキャリアの幅を広げられるでしょう。
独立の可能性が高まる
柔道整復師、鍼灸師いずれも開業権がありますがダブルライセンスを取得することで独立開業でも有利となる場合があります。
柔道整復師と鍼灸師両方の施術ができるため対応できる患者さんの範囲が広くなったり、ダブルライセンスで技術力の高さを患者さんにアピールできたりするためです。
多くの患者さんが足を運ぶ治療院に成長させることもあるため、開業後の経営の早期安定が期待できます。
取得期間と費用の節約
専門学校をはじめとした柔道整復師と鍼灸師の養成施設の中には、在学中に柔道整復師と鍼灸師両方の国家資格受験資格取得と合格を目指せる、ダブルライセンスのコースを設けている施設もあります。
あらかじめダブルライセンスコースを設けている学校を選ぶことで、費用や期間の面で柔道整復師、鍼灸師両方の資格を効率よく取得できるでしょう。
4.ダブルライセンスの取得方法
柔道整復師と鍼灸師両方の資格は、ダブルライセンス支援制度のある専門学校に通う、または就職してからもう一つ資格を取得するかのいずれかの方法で取得できます。
それぞれの具体的な取得方法を解説します。
ダブルライセンス支援制度のある専門学校に通う
専門学校の中には、柔道整復師と鍼灸師の資格を同時に取得できる学校があります。
大学や短大でダブルライセンス取得を目指すなら、柔道整復師または鍼灸師の国家資格受験要件を満たせる学科を卒業後、もう一方の国家資格受験要件を満たせる学科または専門学校へ入学し直さなければいけません。
ダブルライセンスの支援制度のある専門学校に通うことで、費用面でも効率的にダブルライセンスの取得につながるでしょう。
就職してからもう一つ資格を取得
指定の養成施設を卒業し柔道整復師または鍼灸師の資格を先に取得後、就職してからもう一方の資格を取得する方法もあります。
整骨院や鍼灸院といった治療院などで働きながら、休みの日に専門学校などに通って国家試験受験資格を得て、国家試験に合格することでダブルライセンスが取得できます。
5.ダブルライセンスの取得に必要なコストと学習期間
ダブルライセンスの取得に必要なコストと学習期間を、取得方法に応じて解説します。
最短3年で取得可能
専門学校のダブルライセンス取得支援コースに通うことで、最短3年でダブルライセンスを取得可能です。
柔道整復師と鍼灸師に必要な技術や知識、さらに両方の国家試験対策も3年間で行うため勉強が大変と感じる方もいるかもしれませんが、費用とコスト面ではもっとも効率よくダブルライセンスを取得できる方法です。
4~5年コース
専門学校のダブルライセンス取得支援コースに通い、国家試験の受験期間を1~2年ずらす方法もあります。
たとえば柔道整復師の国家試験を先に受けて、その後鍼灸師の国家試験を1~2年後に受けることも可能です。
受験時期をずらすことで、それぞれの国家試験に必要な対策がしっかりできるメリットがある一方、必要な費用や時間が少し多くなります。
6~7年コース
専門学校または大学を卒業してどちらか一方の資格を取得後、ほかの学校や学科へ入学し直してもう一方の資格を取得する方法です。
専門学校+専門学校なら6年間、大学+専門学校なら7年間でダブルライセンスが取得できます。
柔道整復師と鍼灸師それぞれの知識や技術をしっかり学べ、国家試験対策も集中して行える一方、費用や時間はもっとも多くかかる方法です。
6.ダブルライセンスの合格率
厚生労働省発表の令和5年第31回柔道整復師国家試験の合格率は49.6%、 はり師国家試験の合格率は70.4%、きゅう師国家試験の合格率は71.7% でした。
ダブルライセンス取得コースを設けている専門学校の中には、毎年90%以上の高い合格率を維持している学校 もあります。
ダブルライセンスは十分取得できる可能性は十分高いと言えるでしょう。
7.まとめ:ダブルライセンスで人生の可能性を広げよう!
柔道整復師と鍼灸師のダブルライセンスを取得するメリットや方法について解説しました。
ダブルライセンスを取得することで、就職や転職、開業に有利となる分、期間や費用も発生します。
自分が治療師として目指す将来像を合わせて検討するのがおすすめです。
鍼灸師の求人を探す【参照サイト】
柔道整復師・整骨院・接骨院について 柔道整復師とは?|公益社団法人日本柔道整復師会
鍼灸の基礎知識 鍼灸治療について 鍼灸師の資格|公益社団法人日本柔道整復師会
第31回柔道整復師国家試験の合格発表について|厚生労働省
第31回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について|厚生労働省
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