理学療法士は利用者さんや患者さんの動作機能回復や日常動作の維持を目的に、理学療法やリハビリを提供する職種です。患者さんや利用者さんとの関わりを通じて他の医療職では得られない、さまざまなやりがいも得られます。
今回は理学療法士がやりがいを感じる瞬間や、他の医療職にはない理学療法士のやりがいを解説します。
理学療法士としてのやりがいを失ってしまったときの対処方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
1.理学療法士がやりがいを感じる瞬間5選!
理学療法士がおもにやりがいを感じる瞬間には、以下の5つがあります。
①.患者さんが回復してご本人や家族の笑顔を見られた時
②.信頼を得てリハビリ計画を前向きに取り組んでもらえた時
③.チームの一員として医療に貢献できた時
④.自己成長を実感できた時
⑤.患者やスタッフと楽しく交流している時
それぞれのやりがいについて具体的に解説します。
①.患者さんが回復してご本人や家族の笑顔を見られた時
理学療法士のおもな仕事は、患者さんや利用者さんが日常生活へ戻るためのリハビリを提供することです。
リハビリを経て回復したときには、「ありがとう」と本人や家族から感謝されることもあるでしょう。まさに理学療法士として自分の役割や必要性を実感できる瞬間で、最大のやりがいを感じられます。
実際に回復した患者さんや家族が自分のところへ会いに来てくれることもあります。回復した姿を見て、笑顔を見られた瞬間は「理学療法士をやっていてよかった」と思う人も少なくありません。
②.信頼を得てリハビリ計画を前向きに取り組んでもらえた時
患者さんや利用者さん一人ひとりによっての体の状況は異なるため、理学療法士はそれぞれに適切なリハビリを計画し、提供しなければいけません。リハビリを計画通りに進めるためには、患者さんや利用者さんと信頼関係を築くことも重要です。
リハビリ計画を綿密に作成しても、患者さんや利用者さんが納得しなかったり、または思うように身体を動かせないストレスをぶつけられたりすることもあるでしょう。それでも、理学療法士は患者さんや利用者さんの気持ちに寄り添わなければいけません。
当初はリハビリに消極的だった患者さんや利用者さんとも徐々に信頼関係を築くことで、リハビリに前向きに取り組んでもらえるようになります。理学療法士としての努力や苦労が報われたと感じられ、大きなやりがいが得られるでしょう。
③.チームの一員として医療に貢献できた時
理学療法士は、他の理学療法士、医師や看護師、介護士といった他の医療職、介護食と協力してチーム医療を実践します。
患者さんや利用者さんと直接接する機会の多い立場でもあるため、理学療法士が患者さんや利用者さんの現在の状況に一番詳しいことも多いです。
看護師や医師へ理学療法士として患者さんや利用者さんの状況を共有するなどでチーム医療に貢献できたときも、大きなやりがいが得られるでしょう。
④.自己成長を実感できた時
理学療法士としての臨床経験を積んでいくと、理学療法士として働き始めたときに比べて効率よく業務を進められたり、患者さんや利用者さんへもスムーズな対応ができたりします。
経験を積むことで、自分自身の仕事の技術や提供するリハビリに自信が持てるようになることも、理学療法士のやりがいのひとつです。
⑤.患者やスタッフと楽しく交流している時
理学療法士は患者さんや利用者さんとの楽しい会話を通じてリハビリを進めることも、大切な仕事です。患者さんや利用者さんとの会話から、体の状態を把握するヒントを得られることがあるからです。
また、他の医療スタッフとのコミュニケーションを通じて患者に関する詳細な情報を得ることもあります。人と接するのが好きな人や、話すことが好きな人は、理学療法士の仕事の楽しさを存分に感じられるでしょう。
2.他の医療職にない理学療法士ならではのやりがい
理学療法士が仕事を通じて得られるやりがいはたくさんありますが、他の医療職にはないやりがいもあります。理学療法士ならではのやりがいを、他の医療職と比較して解説します。
看護師・介護士と比較
看護師や介護士は、患者さんや利用者さんを支えることが役割ですが、理学療法士は、患者さんの動作の回復や維持を手助けする役割を持っています。
看護師や介護士が「できない」ことへ対するサポートを行うのに対して、理学療法士はリハビリによって患者さんや利用者さんの「できない」を「できる」に変えることができます。
患者さんや利用者さんのマイナスをプラスに変えられるのは、理学療法士ならではのやりがいです。
作業療法士と比較
作業療法士も理学療法士と同じリハビリ専門職ですが、得意とすることは異なります。
理学療法士が、座る、立つ、歩くといった基本動作の回復や維持を目的としたリハビリを提供する職種であるのに対し、食事や入浴、料理といった日常生活に必要となる応用動作の回復のためのリハビリを行うのが作業療法士です。
イメージとしては、体を使えるようにするのが理学療法士であり、そのポテンシャルを発揮させるのが作業療法士になります。
柔道整復師と比較
柔道整復師は外傷を負った患者さんに対して柔道整復術による施術を提供する職種です。理学療法士に近い医療専門職ですが、ケガや痛みを治す/緩和するイメージがより強くなります。
理学療法士の場合、体の状態は立つことができるが、筋力の低下や後遺症などで立てない患者さんに対しリハビリを提供することで立てるようにサポートしていきます。
一方で柔道整復師の場合、ケガや痛みでそもそも訓練ができない(すると悪化する)状態の患者さんに施術を提供するイメージになります。
言語聴覚士と比較
言語聴覚士は嚥下や発話など口腔周辺の機能維持やリハビリを提供する医療職であり、理学療法士とは大きく異なります。
リハビリをする人という意味では同じですが、口やのど周りに特化している言語聴覚士に対し、理学療法士は全身を担当するイメージになります。
3.職場によって変わる理学療法士の魅力
理学療法士が働くおもな場所は、病院をはじめとした医療機関です。ただし理学療法のニーズの高まりを受けて、理学療法士の働く場所も多様化しており、働く場所によってもやりがいは変わってくるでしょう。
病院では医師や看護師といった他の医療職種と多く関わる機会があります。医療やリハビリに関する意見や知識を多くの人と共有できるため、理学療法士としてのスキルアップにもつながります。
また、病院に入院していた患者さんの動作回復のためのリハビリを提供するため、「患者さんを帰宅させられた」といった達成感も得られます。
診療所やクリニックは整形外科やリハビリテーション科といったように、診療科が明確に分かれています。
理学療法士が担当する患者さんの病状もある程度限定されているため、専門性の高いリハビリを提供できるようになります。担当する患者さんとは長い付き合いになることも多く、信頼関係を築けるのも魅力です。
介護施設では、ひとりの利用者さんと長く付き合うこととなり、より密接に向き合うことができます。また簡単ではありませんが、リハビリの成果が出て利用者さんの自宅復帰が実現したときには理学療法士としての大きな喜びややりがいも得られるでしょう。
福祉行政機関では、日常生活に困難や不安を抱えた患者さんやご家族を住み慣れた地域で暮らせるためのサポートを提供しています。理学療法士は機能訓練を実施するだけでなく、必要に応じて自宅へ訪問しリハビリや介助のアドバイスを行うこともあります。
患者さんやご家族がより良く暮らしていけるようにサポートをする、大きな使命感のある職場です。
4.理学療法士がやりがいを感じなくなった時の対処法
理学療法士としてのやりがいが感じられなくなったときには、初心に返ってみるのもおすすめです。かつてリハビリを提供した患者さんとの思い出や、達成感を得たことを思い出して、モチベーションにつながる可能性があります。
理学療法士としての理想や目標を再確認するのも良いでしょう。理想や目標と現状を比較し、今自分に足りないものが分かったら、知識や技術を身に付ける原動力となれるかもしれません。
人に相談するのもおすすめです。家族や友人に相談するだけでなく、同じ職場の同僚やスタッフに相談し、気持ちを共有することで解決策が見つかる可能性があります。
最後に、転職を検討してみるのも選択肢です。理学療法士の職場は病院や介護施設だけでなく、フィットネスジムやスポーツクラブ、行政、セミナー講師などいろいろな道があります。
自分のやりたいことと今の職場が異なるときには、転職も考えてみましょう。
5.理学療法士は大変なこともあるがやりがいを感じる仕事
理学療法士のやりがいと、やりがいが得られなくなったときの対処方法を紹介しました。
理学療法士は他の医療職にはないさまざまややりがいがあり、職場によってもいろいろな魅力もあります。
理学療法士としてのやりがいを持ちながら仕事を続けるためには、自分の選んだ道に納得し、日々の業務の中でやりがいを見つけることが大切です。
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